名古屋市立大学大学院薬学研究科・薬学部English SAMPLE COMPANY
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光誘起電子移動をトリガーとした可視光応答性ケージド基の開発

 光分解性保護基(PPG)で生理活性分子を保護した「ケージド化合物」は、光によって任意の場所・時間で生理活性を制御できるため、ケミカルバイオロジーや創薬研究で広く利用されています。しかし、代表的な2-ニトロベンジル型やクマリン型PPGは紫外光から短波長の可視光を必要とするため、細胞や組織への毒性が課題となります。また、既存の長波長応答型PPGは、酸素を必要としたり、強い光増感作用を示したりするものがあり、生物学的応用には制限がありました。  当研究室ではこれまでに、光誘起電子移動(PeT)を利用して660 nmまでの光でNOを放出できる光応答性NOドナーを開発してきました。本研究では、このPeT型NOドナーの設計概念をPPGへ展開し、可視光で生理活性分子を放出できる新たなBODIPY–ピコリニウム複合体(BPc)を開発しました。BODIPYを光吸収アンテナ部位として利用し、PeTによってピコリニウム基のC–O結合が開裂することで、保護した分子が放出されます。応用として、BPc基をヒスタミンや可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)活性化剤GSK2181236Aに導入し、青色光照射によって生理活性分子を放出できることを実証しました。特にGSK2181236Aを用いた実験では、光照射による血管拡張活性の制御に成功しています。本研究は、これまでNOドナーで利用されてきたPeT型の光制御の戦略をPPGへ拡張し、可視光によって生理活性分子を時空間的に制御できる新たな設計基盤を示した点に意義があります。
(2020年度修士卒 中村君による研究)

[発表論文]
RSC Advances, 13, 26375-26379 (2023).

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